今回はチェンマイの働くおばさんよりご報告。先週申したように、友人から依頼を受けたウェブサイトの仕事のために、ネット上でウェブデザインのネタを探している内に、ウェブデザインサイトの翻訳の仕事をもらって、今週入稿しました。言っちゃあ何ですが、ウェブデザインという専門分野の翻訳の
割には、少ない翻訳料でした。でも、私はウェブデザインを勉強したいし、何より過程を楽しむをモットーにして
いますから、あれこれ、関連情報をインターネットで検索して、専用の辞書を作り、関連のソフトを使って
翻訳が意味をなしているか確認のために自分でも画像を作ったりして、チェンマイ人でも驚く低い時給で働きました。でも、色々学べて満足して。
ところが!再提出をくらってしまったのです。とほほ.。理由は誤字脱字が多いのと翻訳が的確でないので、修正後再提出をしても、「公開できないと判断をした場合には、今回の報酬はお支払いを致しかねます」との厳しい言葉で締めくくられていました。
昔から私は前へ前へと進んでいくのが
好きで、テストでも宿題でも見直しが大嫌い、終わったことを イチイチほじくり返して、振りかえるくらいなら
結果が悪くても、構わない!という学生生活を送りました。
しかしながら、社会人になって、集団で働くと
なると、それは許されないのです。過去のアメリカの コンピューター会社勤務時代に、日本最大のコンピューター会社との合弁事業で、何十人もの人が関わる プロジェクトを担当しました。1年半でリリースを目標のはずが予定の倍以上のの3年半に及んだ長期 プロジェクトとなってしまい、”やりっぱなし”の
わが社の社風のせいで、半年は実現が遅れたという、身に しみる痛い経験をしているので、今回の
翻訳の提出も十分に確認したつもりでした。
いやはや、他人から間違いを指摘されるのは幾つになってもつらいですね。私の学ぶ野口整体を始められた野口晴哉先生は著書「叱り方褒め方」で「ほめるときは、的を的確に。そうでないと、ほめられた人は馬鹿にされているように感じる。叱る時は的を三分的を外さねば逆らう。傷口に直接触れられるのは痛いものである」といようなことをおっしゃっています。私も以後処しかたを改める必要があります。メールで情報を やりとりすると相手の顔が見えないので、ことさら、丁寧に対応すべきですね。
「不適格な翻訳箇所は指摘するが、今後のために誤字脱字は自分で見つけるように」という、この先の 明かりの見えるような対応、でも、ショックで、一時は「あんなに注意したのに、まだ誤字脱字があるなら 向いていない仕事だし、
指摘された翻訳不適当箇所も、筋が通っているようで、担当者の趣味とれないこともない。何よりもこんなに時間がかかって、楽しくない仕事に、他に優先事項の高い仕事を差しおいて、人生を無駄づかいすべきか?」とそのまま、投げ出そうかと思いました。しかしながら、私には「女性に向いた仕事を探すという使命」があったので、”自宅で翻訳”のように、女性向きと思われる仕事を納得いくまで試さずに中途で投げるのは、使命感に反します。そして、Jan Spillerの言うように、「何かに行き当たったら、自分以外の他の要素を原因とせず、いかに目先を変えて、自分の夢の実現につなげるか」が大事です。 ショックを受けた心と体を何とかほぐし、対応策を模索しました。
こんな時に助けてくれるのが過去の経験と私の場合はコンピューター。3年ほど前に、友人に本を出版する企画を持ちかけられ、校正の仕事に携わった経験があるのです。一人で幾ら確認しても、例え二人でも 誤字脱字は、なかなか無くならないことを
知っているのです。そこで、新兵器を導入しました。世の中は、 まだまだ素晴らしい!
ALTAIR(アルティア)という視覚障害者のために、テキストを音声化するソフトを無料配布しているサイトがあるのです。
早速ALTAIRに助けられ、脱字3点を発見し、担当者にご指摘をいただいた誤字2点(誤字の発見は誠に難しいです。何か対応策はないでしょうか?)その他に丁寧さに欠けていた部分を訂正し「まだだめなら、本当に縁なし」とその日の内に再提出しました。
気にしないように努めても、メールボックスで結果を確認する時はドキドキです。今度はすんなり、受領され、
すぐに次に仕事を依頼されました。でも、私としては少しも丸く収まったわけではありません。担当者に翻訳が受領されたら、相談すると言われていた、翻訳料の支払い手続きのことが、まったくふれられずに、次の
仕事の依頼だったので、「アメリカの会社的手口か?」と私は疑心暗鬼になってしまいました。小さな コンピューター会社では、すぐに運転資金が足りなくなり、事務所の家賃も払えず、コピーのトナーさえも買えなくなる、ことを経験しているのです。できるだけ安く人を働かるが、報酬はなるべく払わないという雇用 関係があるのです。その結果が今問題になっているサブプライムローン問題だと思います。
日本人は払うと約束したものは、必ず払う習慣のある、素晴らしい国民性を持っている、世界で数少ない国です。末代まで伝えるべき努力しましょう。ここタイでも、夫は、いつも「本当に払ってくれるのか?」と心配します。そして、それは取り越し苦労ではなく、そういう考慮が必要な場面を私も何度も体験しています。
アメリカの会社に
おいても経験しました。私のいた金融コンピューター業界は、他人の弱みにつけこんで、 なるべく約束したサービス、金額を少なくしようとする人達の集団でした。
例えば、このような経験をしました。私は転職した際に他の人より特別に多く休暇をもらうように交渉しました。その分年俸を低くおさえることに同意しました。当時結婚していた元夫がドイツに転勤
していたので、年に4回2週間の休暇をとって、東京から通う予定でした。しかしながら、人生には色々なことが
起るもので、通うはずだった元夫と別れることになったのです。離婚は本当に精神的にも肉体的にも大変
なできごとでした。離婚ができるかできないかで、もめている最中に、事業年度が変わり、年俸の
話し合いのために、ボスのオフィスに呼ばれ、ドアを開けた瞬間に言われたことが「年俸は昨年通り、休暇の特別支給は去年で終わりで、皆と同じ。以上、ドアを閉めて席に戻りなさい」と、正にとりつくしまもない状況でした。転職して一年、まだ状況にも慣れず、早口やなまりの多い同僚の話す公用語の英語は、分からないことが
多く、会社のお荷物とも思えなくない存在の私ゆえの当然の対応なのか?とめげました。私はあけ広げな性格なので、社内の人間にも離婚をすることは 伝えていましし、相当参っていましたから、難航していることが表情にも出ていたでしょう。でも、一人で生きていくと決心したので、負けてはいられません。交渉経験の積み重ね。相手も私の弱い所を突いてきたので、
私もボスの弱い所、アイルランド系が最も弱いのは「家族愛」なので、そこに着眼することにしました。
脳梗塞で倒れたばかりの
父を盾に(お父さんありがとう)、「特別休暇は父の看病のために使いたいので、継続して支給」を請願しました。結果はOK。一度約束したことは、果たすべきで、状況が変わったら、相手にきちっと理由を伝えて交渉すべきで、命令すべきではありません。
私はボスの徳を下げずに済ませた、有難い部下です。そのせいか、2年後には、頼みもしないのに、年収を一気に2百万円上げてくれました。運転資金が常に逼迫していた会社としては、異例の措置です。その後も彼との信頼関係は保て、彼には色々なことを教えてもらいました。今あるのも彼のお陰、今でも感謝して、食事に行ったりしています。相手が不当なことを要求してきた
時には、自分を信じて、一度は心の扉を叩いてみるべきです。それでダメなら、縁のない相手なので、諦めた方がいいですね。
今回の翻訳料の件についても、翻訳が受領された分を支払ってもらったら、次に進む旨を連絡しました。 担当者の返答は「翻訳料の手続きについては説明したと思っていた」とのことでした。会社の資金が逼迫して
いたのではなく、担当者個人の問題なのかもしれません。その他、当初に提示した、こちらからの要望も忘れられているのに、「次回からは担当者のチェックなしで、そのままサイトに公開できるように」と高圧的に感じられ、担当者のリスクを、契約もしていない、一介の翻訳者に寄せてくるような感じを受けたので、この仕事で先に進むのを辞めました。まあ、このページのネタとして十分楽しませていただいたので、良かったとのことで。お金は必要な時には来ると待つのを楽しみに、優先順位の高い仕事に励みます。
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