夫ヌクーンの養父(中華系の風習で、一族の有力者の養子になって、養父に後ろ盾になってもらう。ゴッド ファーザー)に当たる伯父が95歳で大往生したので、バンコクで盛大なお葬式が行われた。
葬儀は1週間以上続いたが、前半はタイ式、後半は中華式で、我々は中華式のみ参加した。といっても、 式典は朝の九時から、夜11時近くまで、途中休憩はあったものの、12時間以上に及んだ。伯父の魂を家族で現世からあの世までおくったのだ。お寺の境内にある式場に、楽団が入り,三途の川を渡る橋、その他の 小道具が備えられ、一族が列をなして何度も、ぐるぐると廻った。美声のお坊さんをとりに、総勢25人のお坊さんが経を唱える(歌)声及び姿はチャイニーズオペラ。きらびやかな衣装で、時々九字を切られたりすると、本当にあの世に迷い込んだのかと幻惑されてしまう。
夕方、閻魔大王の許しを得た儀式の後くらいから、仕事を追えた弔問客が、どっと詰めかけ、我々が
4時間以上の供物を捧げたり、三顧、四顧の礼を繰り返し(ヌクーンは翌日筋肉痛に)休みなしの儀式を続けて いる間、おかゆやスープを振舞われて、見物を楽しむ姿は
日本の神妙に執り行われるお葬式と文化の違いを感じた。
華人の葬式とは言っても、伯父の長男(既に他界)はドイツ人との間に3人の子供をもうけ、その長男 つまり、ドイツ人とのハーフが今回の喪主を務めた上、養子の夫の妻私は日本人であり、一族
の中には カナダ人と結婚している者もいるので、様々な国籍の混ざりあった団体による儀式で、
タイ式葬式も同時に行うことといい、その懐の広さが、タイの華人の繁栄の鍵かな?と思う。
今回の儀式を取り仕切ったのは、伯父の長女。財産家で、華人の知恵者の友人の助けが借りられる 彼女でこそ催せる葬式だった。急速に発展し、西洋化が進むタイ華人社会で、今後、このような
葬式が続けられるかは、はなはだ疑問で、葬儀に参列できたのは、またとない機会であった。
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