大学四年生の時に「卒業後に留学したいなぁ」とありがちなモラトリアム気分で
アメリカの南部、テネシー州のある大学に2ヶ月ほど、語学留学と称して、様子を伺いに行きました。
結局はアメリカの大学生が授業が終わると図書館に直行して、夕食もそこそこ、閉館まで粘って勉強する姿に
圧倒され、「やりたいことの決まっていない私には無理」と尻尾を巻いて退散したのですが、同時に印象的だった
のが、アメリカ人の自国の文化のプレゼンテーションのうまさ。時がちょうどサンクスビギングと重なりました。サンクスギビングデーはご存知の方も多いと思いますが、学生はほとんど寮を引き上げ、お国に帰る、日本の正月のような、家族の祝い事。通っていた大学内の語学学校の掲示板に「サンクスギビングデーを一緒に過ごしませんか?」とのお誘いが
幾つか貼りだされていたのです。サンクスギビングデーの後も履修の残っていた私は、喜んで初めてのお宅に伺いま
した。一緒に呼ばれた(応募した?)台湾人、シンガポール人も初めての顔合わせ。そんな見ず知らずの寄席集まり、3人家族プラス3人の客で、とても楽しい、七面鳥ディナーをいただきました。食後のあとかたずけは、料理をしなかった、だんな様と坊ちゃん担当で、奥様はお客対応のホステス
役を続けるなど、アメリカの家庭の雰囲気を大いに学べました。大学の時の親友は台湾からの留学生でしたが、
お正月に彼女を家に招待しようなどとは少しも考えなかったことに深く反省しました。「そういえば、 お正月に帰国しなかった
留学生は身の処し方に困っていたわ。」とアメリカに行って初めて気づきました。 せっかく興味を持って日本に
来てくれている外国人学生に自国の文化への理解を深めてもらえる機会を 逃して、もったいないことです。
...というわけで、それからは日本の文化に少しでも興味がある外国人に出くわすと、おせっかいにも紹介役を買って
でることにしています。この間チェンマイの工房に参加したカナダ人の女の子に「日本の文化は 分かりにくいから、説明役を
したい」と言ったら「本当に、日本人はわかりにくいよ〜!」と実体験からか? 思わず不満をもらしていました。
文化の異なる人々には黙っていたら、通じないんですよね。以心伝心は あきらめて、積極的に自己文化の紹介をしましょう。日本は、まだまだいい国ですから。
チェンマイでの日本の文化紹介行事、第一弾はてんぷら料理教室でした。夫の親戚に「子供が大好きだから、
てんぷらの揚げ方を教えて」と言われて、揚げたことのない私がすぐさま思い浮かべたのが、前に住んでいたコンドミニアムでお世話になった、料理のお上手なAさん。日タイ友好120周年を記念して、ボランティアで先生をしていただき
ました。チェンマイの未来の寺子屋である、我が家の初めてのイベント。
二人のお子様含めて、野菜の皮むきから、皆で行い、日本人は皮をむく時手前に引くけれど、タイ人は押す、と行動原理の違いを発見するなど、生の異文化交流ができました。天ぷらは、やはり大変で、日本では「外で食べる物」としている人が多いと説明すると納得しているようでした。Aさんはうどんの名産地、徳島のご出身で、チェンマイでは、東京でも、そうそうは食べられない、しこしこの美味しいうどんを麺棒で延ばして、切るわざをご披露いただきました。うどん粉はタイの粉ではどうしてもうまくいかなく、日本製と聞き一同がっかり。私は、「とうとう、台所もできたし、バーツが少し下がって、大型冷蔵庫も買えた。何とかここまで来た」と感激に裏で涙しながら、美味しい手打ちうどんとてんぷらをいただきました。
本当は近所の方も沢山お誘いして、大々的にやりたかったのですが、今回は友人どまり、それでもタイ人
イギリス人日本人合わせて12人でチェンマイらしく、インターナショナルに。A先生は「楽しかったので、またやりましょう」とおっしゃってくださいました。A先生のような、私の母の年代の方々は、女性も男性も芸達者が沢山いらっしゃるので、少し生活に余裕のできた今こそ!孫子のためにも、是非日本文化の紹介に尽力していただきたいです。一歩一歩できるところから始めて続けていきましょう。
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